2012/5/13-14で残雪の尾瀬に行ってきました。

自宅4:40 - 6:20鶴ヶ島JCT - 8:15 戸倉 - 富士見下P 9:13 - 11:27富士見小屋 ー 11:50 長沢道分岐先 12:05 - 13:00 長沢道下 - 13:50 木道発見 -14:10 竜宮小屋
残雪の尾瀬 その2は
コチラいろんな山に行くのもいいけれど、一つの山の季節の移り変わりを楽しむのも、またいとをかし・・・。
そんなセリフを言ってみたくなるほど、尾瀬というのは懐の深いところ。一度目は7月下旬、この時は燧ヶ岳登頂とニッコウキスゲがお目当て。二度目は6月下旬で、至仏山登頂、そして三回目のこの日は、一度来てみたいと思っていた、残雪たっぷりの静かな尾瀬。一面雪化粧の風景も素敵だろうけれど、春の息吹も感じられる、でも、また訪れる人は少なく・・・、そんな隙間を狙っての尾瀬行きでした。
もちろんお目当ての一つには、雪解けが始まった尾瀬の一部に期待出来る、咲き初めのミズバショウがあります。3月の鍋割で少々無理をしたのがたたって、右膝に違和感を覚えていたので、鳩待In-Outのへたれコースでも十分、と思っていたのが私。対して、相棒の方は、もう燧ヶ岳登頂ヤル気満々だったようで、まずそこで両者の意見が激突(ってほどのモンじゃないですけど、笑)。
まぁ、鳩待In-Outだけでは少々物足りないな、と思っていたのも事実だけれど、燧ヶ岳に登れるほどのコンディションでもないことは明らかだった。結局協議の末、マイナールート好みの相棒の意見を取り入れて、富士見下でのIn-Outプランとなった。もっとも、富士見峠近辺の状況によっては、帰路は鳩待峠に出て、戸倉に戻ってから車を回収、というエスケープルートも考えていた。
富士見下の駐車場に着いたのが8時半頃、誰もいねぇだろうなぁ、と思っていたら、車から降りて身支度をしていた3人組が居たのにはちょっとびっくり。我々以外にもこの時期にこんなマイナールートを行こうというもの好きな方は居たんだね。
100mほど手前にバス停とトイレがあるが、バスの開通は19日から、ということで、トイレはがっちりとしまったまま。なのでいったん戸倉の駐車場まで戻ったため、ここで30分ほどロスしてしまった。せっかく朝頑張って自宅発で稼いだ貯金だけど、これで放出~。
ここからは7kmほど林道を歩く、ただひたすら・・。
と思っていたら、こんな時にだけ鼻が効くのか、道の脇にこんなものをみつけた。

そう、ふきのとう。
よくみると、けっこうな数があるではないか。
とはいうものの、さすがに時期が遅すぎるので、開いた状態のものがほとんどで、上の写真のようなつぼみ状のものは稀。よし、これ帰路に摘んで帰ろう(ほんとうはいけないのかもしれない・・)と、さっそく帰りの楽しみを見つけてみたりする(笑)。もう少し上にいけば、雪が残っているだろうから、そこを掘り返してみたら、丁度いいのがあるかもね、なんてことを考えたが、そんなことをしていたら、富士見峠で折り返さなくてはならないだろう・・・。
30分ほど歩き、田代原とよばれるやや平坦な森に出ると、かなり残雪が目立ってくるようになってきた。このあたり、ぶなの木がなかなか見事で、青空をバックに葉を落とした枝が輝いているようにみえる。

小一時間ほど歩いただろうか、先行していた3人組が道端に止まっている重機に腰かけて休憩していた。挨拶を交わして脇を通り抜けると、あれ? その先はまったく除雪されておらず、一気に雪道に突入、という状況だった。3人組が座っていたのは、除雪用のブルで、その向こうにはおそらく小屋の人が使っているであろうスノーモービルが2台置かれていた。
さすがにこの時期の雪、重たいし、べしゃべしゃだし、靴に触れた瞬間に溶け出すような有様なので、まぁ足が重たく感じること! それでもかなり締まっているので、体重をかけても沈む量は5cmくらいで収まってくれたのがラッキー。

足元は全面雪だけれど、日差しや陽気はもう初夏のもの。太陽が眩しいというのはありがたいものです、はい。

そうして歩くこと2時間ちょっと。11時半頃に富士見小屋に到着。小屋のBlogにも書かれていたけれど、まだこのあたりの積雪は1m以上あるようだ。

小屋を右手にみながら稜線に出て、さらに左側に進むと、富士見田代と思しき場所に出た。

このあたりはまだまだ一面雪。これがすっかりなくなった頃にまた訪れてみたいな、と思わせる雪原が広がっていた。
このあたりからトレースも頼りなくなってきてしまうが、地図をみてあたりをつけて、アヤメ平方面へすすむと、木々の間を縫うように、なんとなく踏み跡が続いているのでその方向へ進む。この調子だと分岐の標識も埋もれているかもなぁ、という不安が頭をよぎった頃、森の中に二人の登山者を発見。
少し話をすると、東電小屋に泊まって今朝、長沢を上がってきたらしい。明瞭ではないけれど踏み後はあったとのことで、丁度いいタイミングで遭遇したことに感謝して、彼らの踏み後を頼りに尾瀬ヶ原方面へ向かう。
2,3分歩くと眺望の開けた所に出たので、そこで小休止をとることにした。そこから見た燧ヶ岳が冒頭の写真。
12時前、コーヒーブレイクといきたいところだったが、一息入れるのは小屋についてから、と決め、ここは15分ほどの休憩で済ませた。その間に先ほど追い越した3人組が再び先行。なんとなく抜きつ抜かれつ、での山歩きになったが、この時期、不明瞭な山道で同行グループが居るとなんとなく安心するのかも?
(とはいうものの、向こうは残雪歩きをするような装備にも見えなかったので、なんとなく、「彼ら大丈夫かなぁ・・・・」と、ちょっと心配だったのも事実。もっとも、あちらさんが、うちら二人をどう見ていたか?はわからないけどね)
出発して少し歩いた所の日陰の斜面で、3人組が休憩中で、再び彼らをあとに残してぐんぐん下っていく。最初は広い尾根のなだらかな斜面を軽快に降りていく。踏み後もこのあたりははっきりとしていて、特に迷うこともなかった。

ところが、尾根伝いの道が終わるころから少々怪しくなってきた。立ち止まって見渡して、おぉ、あっちの方向に踏み後あり、と探し直すことしばしば。おおまかな方向は、下方に広がる尾瀬ヶ原と、至仏・燧ヶ岳両山の位置関係から間違ってはいない、と確信していたけれど、なんとなくこれは最後難儀するかなぁ、と。結局、この予感は見事的中したのであります(苦笑)。
かなりの急斜面を前に、「これそうかなぁ・・・」と少々不安に。確かにトレースは続いているんだけどね。
この写真のあとに、斜度40度位の小さな沢を降りることになった。沢の幅は10mもないので、持ってきた地形図(1/10000)ではほとんど現れない。方向だけは間違いなくあっている、と確信していたので、降りることにした。(本当の登山道は、もう少し右寄りにつけられていたんだと思う)。

崖のような下り道がおわって、ほぼ降り切ったあたりで、トレースがほとんどわからなくなってしまった。だが、進行方向左手から、かなり大きな流れと思われる沢の水音が聞こえてくる。地図を広げてみると、多分そいつはセン沢。やっぱり知らず知らずのうちに左方向に行ってしまっていたらしい。
と思ったものの、左にあるのがセン沢だ、という確証もない。とりあえず尾瀬ヶ原の見えるあたりまで前進してみれば、そこから拠水林が見えればシメたもの。そう、竜宮小屋はその拠水林の所にあるのだ。
ということで、前進あるのみ。
林が切れるあたりまで出てみたけれど、うーん、よくわからん(苦笑)。
はい、これはまさに、「道迷い(失い)」。
こういう時に地図を見た時に犯しやすい過ちに、「自分の都合のいいように地形を解釈してしまう」ということがある。ここにあるのは、地図上のこれだ!だからこっちへ行けば・・・、という判断が、客観的な観察から導き出されたものではなく、都合よく自身を納得させるために思い込んでしまいがち、になるのだ。
過去にもそういう失敗をしているので、もう一度地形図を取り出したよぉく眺めてみた。ふむふむ・・・、前に見えるのは多分拠水林だよなぁ・・・、とすると・・・。
ある意味ラッキーだったかもしれないが、竜宮小屋の傍まで来ている尾根は、龍の背中のごとく、特徴あるピークが3つ、地形図上に現れている。およそ20~30mくらいぽっこりと盛り上がっているので、周囲からも見えるはず。そう思ってあたりをつけた方角に目をやると、はい、ありましたよ、龍の背中が。数もちゃんと三つ、あってます。
やはり、方角的にはあっていたものの、左方向に行ってしまっていたようで、もっとこの龍の背中のある山の麓を意識して、右手方向に進んでいればよかったんですね。
今度は間違いない判断をしていると確信をもったので、ずんずん右手の方向に進んでいくと、はい、ありました、雪解けが進んだ木道が。ようやく正規の道に戻って一安心。人のコト言えるガラじゃありませんが、「後ろの3人組、大丈夫かなぁ・・・」なんて心配をしてみたり。
写真だとわかりづらいですが、画面中央付近の雪のかたまりの下部に木道発見。

あとで聞いたところによると、この長沢道、現在、ピンクテープをつけているところ、なんだそうです。テープや目印があれば、さほど迷うこともなかったでしょうが、逆に言えば、地図読みがきちんと出来ない輩はこの時期踏み込んじゃダメですよ、とも言えるんですね。億劫がって地図と方角の確認を怠ったために道失いしてしまいましたが、うーん、これは大きな反省点。
長沢道の分岐で出会った登山者はGPSを片手に歩いてきたようだったが、こんな時にGPSを持っていたら、自分が歩いたコースがどこで道を外れたか、あとで一目瞭然だな、ということを思った。もちろんGPSを頼りにロストしないように歩くこともできるけど、なんとなくそれは邪道のような気がする。邪道というと大げさだけれど、デジタルものはいつ壊れるかわからないからね。やはり地図とコンパスという原始的だけれど、常に頼りになるツールを使いこなすことが先決かな、と。
さて、ゴールの竜宮小屋はもうすぐそこ。
でも、旅のハイライトのはここから。
そう、このあたり、ミズバショウの一大群生地でもあるんです。
まだ一部雪に埋もれた木道を歩いて行くと、雪解けした所からほら、ありました!

白く、ニョキッと出ているのがミズバショウです。
岸部沿いの雪解けした所からもこんなに!

この時期だけの特権、木道を外れて雪の上を歩いて、近くまで行ってみることも出来るんです。
遠目で見ると、白鮮やかに開いてますが、近くでみると、先端が黒ずんでしまっているものも多く見られます。これは先週あった遅霜と降雪のせいだそう。また、シカによる食害も多く、花弁や若葉が食いちぎられているものも。確かにこれらの若芽、柔らかくてシカにとっては美味しそうに見えるのかも?

2時過ぎ、結果的にはさしたる遅れもなく、宿に到着です。一面の銀世界に、燧ヶ岳をバックにたたずむ竜宮小屋。なんともいえぬぴったりとハマる光景。

荷物を置いて小屋の前のベンチでようやく本日のコーヒータイム。
その間に、相棒はいつものように雪だるま作り。後ろに見えるのは至仏山。

宿周辺にも小さな芽がたくさん出てますね。
これはギョウジャニンニクか!?

ミズバショウです。地中から出てくるときに既に白の花弁も一緒なんですね。

ザゼンソウもありました! こぶし大ほどの小さなものですが。

日が陰る頃、薄い雲が空を覆っていたけれど、太陽が沈むとすっかり雲も取れて、いい星空が見れそうな気配。

消灯前に小屋の周りで撮ってみた。
横着して三脚持ってこなかったので、直置きでの撮影。
こちらはまだ陽の明るさが残る午後7時過ぎ。小屋からもれる灯りのせいもあって、あまり星が目立たない。

こちらはすっかり暗くなった午後8時半過ぎ、小屋の裏手に回って撮影。

標高1400m、夕方に出ていた薄雲もすっかり無くなっていたように見えたけれど、予想したほど星の数は多くなかったようで。まだ薄い雲がもやのようにかかっていたのかも。
山小屋なので消灯は9時。
部屋は至仏山を正面に見る、竜宮小屋の特等部屋(と、勝手に命名。こんな部屋が4部屋あるので、早いチェックインがお薦め)。寝入ったのは多分10時前だと思うけど、珍しく翌朝5時の起床まで一度も目が覚めることはなかった。たっぷり寝たなぁ・・・、と気分爽快で翌朝を迎えることができたのである。
PS
膝がどうのこうの、と行っていたけれど、結局、林道を7km、雪道を5km弱歩いたことに。
まぁ歩くだけならどうにかなるけれど、って感じでした。どうも膝関節周辺が炎症を起こしているかのよう。
足首での捻挫の症状に近いのかな。
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- 2012/05/21(月) 22:29:09|
- 山
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「道迷い」にはすぐ反応する私

(笑)
でも冷静に地図と地形を見て判断したBKさん、さすがです(^^)
先日、「コースタイムより早く歩こう!」と言う方と初めて一緒に山に登りました。
だからゆっくり写真を撮る時間もなくて・・・
回りも見ないでせっせと先頭を歩いている友人は一般道なのに2回も道を間違えたんですよ・・・
特に広い尾根でどっちに向かっていいのか分からなくなって「あれ?こっちでいいのかな?」と私に聞いてきました。
私は地形図を見て確認しながら歩いていたので正しい道に戻れましたけど、あのまま行ったら全く違う方向に行ってました(笑)
私も地図とコンパス派、です(^^)
GPSは買うつもりはないです・・・
(ただ自分が歩いた軌跡が分かるのはいいなぁとは思います~)
それから膝、ですが・・・私も右膝が時々痛くなるので
知り合いのスポーツトレーナーさんに診てもらったら
どうして痛くなるのかの分析と予防法を教えてもらいました!
とりあえず歩いた直後は炎症を起こしている部分を冷やすといいみたいです!
- 2012/05/23(水) 13:46:23 |
- URL |
- whitebird #-
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whitebirdさん:
コースタイムは、ガイド本によってマチマチなので、それに振り回されるようなことは無い様にしたいモンですね。
山歩きって経験を重ねることによって身につける部分って、凄く大きな比重を占めていると思います(まぁ、山に限らないでしょうけど)。その経験を次に活かせるようになれるかどうか、は一回一回の心構えと行動次第でしょうね。
膝ですが、やっぱり軽い捻挫のような感じです。と、自己診断で済ませてしまうのがワタクシの欠点でもありますけど・・・・(苦笑)。
- 2012/05/23(水) 21:26:03 |
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- BK #-
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