先週のお話です。
山登り屋の性とでもいいましょうか、『とりあえず行けるところまではいってみる』を地で行ったような、今回の山行でした。
8:24 山麓ロープウェイ駐車場 - 9:07 山頂駅 9:25 - 9:45 中宮成就社 9:55 - 11:06 前社ヶ森 - 12:22 2の鎖 12:33 - 12:55 山頂 13:23 - 15:14 中宮成就社 15:22 - 15:38 山頂駅
とまぁ、なんだかんだ言って、結局山頂まで行っちゃいました、というか、行けました(苦笑)。
目指す山頂方面は、下写真左のように雲の中に隠れてましたが、振り替えると西条市内はあらま、日差しがさしているじゃありませんか(下写真右)。遠方の山々もくっきりと見えており、視界は良好。そんな条件も登山を決めた理由の一つでした。

ロープウェイ待ちをしていると、地元の慣れた雰囲気のおじさん3人組と、これもまた地元の慣れたふうのおばさん二人組が登山の格好をしているのが目にはいる(もちろん乗客のほとんどはスキー客)。とりあえず、こんな中、石鎚山に登ろうなんて酔狂な者は自分たちだけじゃないんだな、と思って一安心。が、これがとんでもない思い違いだってことに山頂近くになってから思い知らされたのです。
その三人組のオジサン達は、ロープウェイを降りると12本爪アイゼンを装着、完全冬山装備です。一方のオバサン二人組は、4本と6本の軽アイゼン。この違いに戸惑いつつも、我が家はもちろん「ノーアイゼン」。先週の下見で、ほどよく圧雪されているであろう下部にてアイゼンをつけてしまうのはもったいない。『ツボ足の会』としては当然の判断です(笑)。やっぱり歩けるうちは、自分の足裏で雪の感触を楽しみたいですからね。
気温はマイナス10℃、微風の中、いざ出発~。
ロープウェイ駅からすぐの奥前神寺を過ぎると、とたんに静かな雰囲気に変わり、雪をまとった樹林帯の中を歩いて行く。思った通り足を運ぶ度にキュッキュッと雪を踏みしめる音が鳴り響く。心地よいんだなぁ、この音が。

このあたりの樹木も綺麗な霧氷がついていました。まだ薄着、といった感じですが。

20分ほどで中宮成就社に到着。
もちろんここで御参りをすませる。初詣も兼ねたヤツですが・・・(苦笑)。

中宮成就社を過ぎると道はしばしの下り坂。無雪期はここは木道になっているそうですが、今はご覧のとおりの雪の滑り台。ブーツスキーが出来るほどの斜度があるところもあって、どんよりした曇り空にもかかわらず大はしゃぎ。でも、帰りはこれを登るんだ、と思うと、あまり喜んでもいられないかも。

雪の深さも増してきたようで、登山道の脇にあると思われる鎖もご覧の通り。途中異常な位の急坂に何度か遭遇したけれど、これは積雪期の常で、先行者が直登コースを取ったのだろう。

幸いにトレースはバッチリ残っている。もっともここ10日間ほどは降ってもパラパラ程度だったようで、トレースを消してしまうほどの降雪がなかったのも幸運だった。
高度を上げるに従って、霧氷のサイズも大きくなっていったようだ。

(と書いたけれど、「高度を上げるに・・」というのは勘違いで、このあたり、けっこうなアップダウンがある。石鎚山を見上げる手前に到達するまで、200mほどのピークを2つ越えることになっているのだ。侮るなかれ)
地形の関係だろうが、時折冷たい強風が吹き抜けることもしばしば。そんな厳しい自然がつくりだしたであろう「凍木」。冷凍庫の中にいるみたいです。

前社ヶ森に到達。このあたりに「試し鎖」があったと思ったけど、それらしい看板は見当たらず。おそらく雪の下に隠れているのでしょう。

このあたりで既に時刻は11時を回っていた。うーむ、雪道だから時間がかかっているのか、それとも、こんな天気にも関わらず、あちこちで写真を撮りながら登ってきたせいだろうか、はっきりいって「遅い」。自分の中での山頂発の理想時刻である12時半はもうとっくに諦めていた。天気の崩れる気配はなかったのでまだ多少余裕はあったが、限界と決めていた1時半にギリギリ間に合うかどうか、ちょっと焦ってきていた。もしかしたら、初の撤退が頭をよぎったのである。
二つ目のピーク(剣山)を巻くように越えてようやく御対面、したのがこの眺め。
どうも今日は照れているのか、なかなか姿を見せてくれないのである。

時折こんな感じで前方の視界が開けることもあるけれども、こんな状態はあまり長くは続かない。
でも、このあたり、奥深いせいか霧氷の美しさも格段に増してきたようです。

巻き道が終わり夜明かし峠にさしかかると、前方にテントと数人の人がいるのが見えた。脇を通るとその数10人以上。ここに来る前にも既に2パーティ9人とすれ違っており、意外や意外、結構な登山者がいたのである。
夜明かし峠を越えていよいよ最後の登りにさしかかる。
この頃から、前を歩く相棒が足を滑らせる回数が増えてきた。やはり寒さがきつくなってきたせいか、下の雪も少し固さを増してきたようだ。このあたりが潮時かな、と思い、2の鎖前の小屋のスペースでアイゼンを付けることにした。昨年末に購入した10本爪のめでたい「アイゼンおろし」です。

ここにも先行者1パーティ5名がいました。ほんとに人多いなぁ・・。
下の写真、クリックすると拡大します。
左は2の鎖の小屋の先。上に見える鳥居の方が鎖場のようです。今の時期はすぐ右に曲がって巻き道を行きます。
右は、ここから振り返って見える眺め。あれま、やっぱり市内は太陽が差してますねぇ。

時刻は12:20過ぎ。なんとか撤退は免れたようです。
さすが10本爪、足裏の雪面へのグリップ力がまるで違います。ノーマルタイヤとスタッドレス以上の差がありますね。調子こいてピッチを上げていったら、しばらく忘れていたあの嫌な感覚が膝上の大腿筋あたりに広がってきました。そう、攣ってきちゃいました(苦笑)。水分をきちんと取っていなかったせいもあるけれど、強烈なグリップ力につられて変な処に力が入ってきたせいでしょうか。ナサケナイ・・・・。
だましだまし登りながら3の鎖に到着。
はい、見事な樹氷です。中宮成就社あたりが『小枝チョコ』なら、このあたりはもう『かりんとう』並み。

最後の階段を越えてようやく山頂に到着~。時刻は12:55.ぎりぎり、でした。
もちろん御参りもしましたよ。無事登頂できたことと、下山の安全祈願を兼ねて。

気温はマイナス14℃。看板も凍っていて文字が良く読めませんでした。
ガスが切れた瞬間を狙って、なんとかとらえることが出来た天狗岳。さすがにこっちへは行けません。

山頂に到着したものの、そこは強風の通り道。予報通り風速20mは吹き荒れていたと思います。
こんなんじゃコーヒーを飲むことも出来ないな、と思っていたら、この看板の脇には小さいけど避難小屋がありました。そこにもぐりこんでようやく一息つくことが出来ました。
今回はストーブは持参せず。持ってきたのは、サーモスの『山専ボトル』。雑誌「ヤマケイ」の保温テストでも抜群の成績を残した一品です。その威力は伊達じゃありませんでした。お湯を入れてから7時間近くたっていましたが、ブルックスのドリップコーヒーもアツアツで頂くことが出来たのです。
白い雪景色と碧い空を眺めながらコーヒーが飲めたらいうことはないですけどね。
それはまた次回に(リベンジする気かい!??(笑))
そんなわけで山頂に長居するすることもなく30分そこそこで退散。
3の鎖の巻き道の階段もご覧のとおり、雪で埋まってます。

下りは西条市内を見下ろす形になりますが、やっぱり市内は晴れ間が広がっているようで・・・・。

名残惜しくて何度も振り返ると、たまにこうやって姿を見せてくれました。中腹に見える小屋が2の鎖小屋です。

中宮成就社まであと登りを残すのみ。このあたりにくると薄日がさしてきました。
ここは、遥拝の鳥居といって、山頂まで行けない方がここで御参りをするための場所だそうです。

中宮成就社まで降りてくると、その遥拝殿の脇から石鎚山を拝むことができました。
遥拝殿の中からはちょうどまっ正面から見えるのです(ということを、軽アイゼンのおばちゃん二人組から聞いたので、帰路立ち寄ってみました)

無事、山頂駅まで戻ってきました。
登山の安全に感謝して、相棒の恒例の雪だるまつくり。なかなか固まらずに結構時間取られてましたね。

このあとロープウェイで降りたのが4時過ぎ。
この日の立ち寄りの湯は「ひうちの湯」。露天ぶろは鉄分をろ過していない源泉で、あたためていない35℃の方は、とてもいい感じ。このくらいの温度だと何時間でも入っていられそう。
が、そんなに悠長なことも言ってられませんでした。
この日はレンタカーでの出撃。前日の夜7時過ぎに借りたため、タイムリミットまでもう少ししか残ってません。思い切って二日借りちゃっても良かったかな。
あいにくの御天気でしたけど、四国初上陸にして無事登山を終えることが出来ました。
雪山には青空が一番ですけど、まぁ無事に戻ってこれたのでヨシとしなきゃいけませんね。
次の機会を狙ってムニャムニャ・・本日のおまけ。
帰路、前社ヶ森の休憩所(力あめゆ、冷やしあめゆの看板)で一息入れているところ。
写真撮るからポーズつけているのではなく、右足大腿部の筋肉を伸ばしている処(爆)・・・。
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- 2011/02/05(土) 21:10:25|
- 山
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| コメント:6
ぱんださん:
「温暖な四国の霊山」←どこが温暖ですか??
と聞き返したくなるような、ほんとにアルプス並みの雪深い所でしたね~。
冷えたといえば、カメラもキンキンに冷えました。耐寒性能を調べる目的もあったけど、帽子にくるんでずっと外にだしてましたから。帰路、とうとうふいルター部も凍ってきちゃったし、ファインダーなんか山頂手前で凍って見えませんでしたから(苦笑)。
- 2011/02/08(火) 00:45:12 |
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- BK #-
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white birdさん:
はい、その通り^^
いやはや、なかなか優れモノです、ほんと。今回の山行きで更にホレ込んじゃいました。保温性も抜群、耐風性も言うことナシ、です。
街中じゃちょっと恥ずかしい色ですけど、山ならきになりませんしね。
>奥様も行かれたのですね
ほい。
相棒も四国初上陸でした。
>BKさん山の達人みたいです
あはは、そんなに持ち上げないで下さい。
単に安全に登山出来る時を選んでいるだけ、ですから。
冬山(雪山)は、ちょとした天候の変化で一変しちゃいますからね。ヒヤっとする思いすらも避けたいですし。
- 2011/02/08(火) 22:55:52 |
- URL |
- BK #-
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夏道がどうだったかな~と思いだしながら、拝見させてもらいました。
冬の霊峰、迫力ありますね~
いやいや、素晴らしい景色を見せてくださって、ありがとうございました。
山専ボトル、わたしも最近購入しましたが、すごい威力ですよねー
- 2011/02/11(金) 18:42:48 |
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- まゆ太 #Uc1kfBME
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まゆ太さん:
コメント、ありがとうございます^^
>冬の霊峰、迫力ありますね~
綺麗な晴れ間の時に見るよりも、荘厳な雰囲気が漂っているかのような・・・。全貌をのぞかせてくれたのはこの時だけだったんですよ。
山専ボトル、まゆ太さんも?
色はやっぱり今シーズン発売のターコイスブルーですか?^^
あれ、威力あり過ぎて、早い時間だと熱すぎて飲めないのが難点かも?^^
- 2011/02/12(土) 12:25:05 |
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