では、8/30(月)、ハーフドーム登頂記です。

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本日の行程
5:55 TH駐車場 6:08発 気温14℃
6:44 Vernal橋 6:49
8:08 Nevada滝上 8:18 気温6℃
9:32 HalfDomeトレイルジャンクション
10:08 Domeショルダー下 10:13
10:54 サブドーム上 11:03
11:27 頂上到着~
12:50 頂上出発
13:26 サブドーム上 13:37
14:28 HalfDomeトレイルジャンクション
15:33 Nevada滝ミストトレイル分岐 15:37
16:24 Vernal滝上 16:48
17:32 Vernal橋
17:49 TH(トレイルヘッド、上の写真の距離標識のあるところ)
18:00 TH駐車場
歩行距離:約16マイル(25.6km)
歩数:だいたい42700歩+α
先にも書いたように、Permit取得の件があったのでドーム登頂は渡米翌々日に。前日に足慣らしも済んだことだし、久々の16マイルハイクも準備万端・・、だといいんだけど、ちょっと昨日歩きすぎたかなぁ・・・(苦笑)。
でも、去年、ドームショルダーまでいって引き返してきたときには、翌日また登れそうな位にコンディションもよかったし、まぁ大丈夫でしょう、と思っていたけれど、さてその結果や如何に・・・・。

朝は4時半に起きて朝食&昼食のおにぎりをつくり、5時半前に宿を出発。まだ星がいくつか見えるくらい暗い中、バレーに向かって車を走らせる。真っ暗な林の中の一本道を走っていると、動物が飛び出してきたりしないよなぁ、と変な心配をしながらゆっくりとしたペースでバレー内を進んで、トレイルヘッドの駐車場に着いたのが6時頃。丁度正面にそびえたつ断崖の上にはきれいなお月さんが輝いていた。今日もいい天気に恵まれそうだな、と思うと自然と顔がほころんでくるものだ。
駐車場を出発したのは6時過ぎ、ここから本当のトレイルヘッドまで10分余り、準備運動代わりにのんびりと歩き出す。周囲には結構人も歩いていて、この時間に歩き出す人たちはほとんどがドームを目指すハイカー達だ。たまたま同時刻に出発したハイカーのカップルに「ドームへ行くの?」と声をかけられた。「そうだよ。君達も?」「あぁ。で、こっちの道でいいのかい?」「OKだよ、ここを歩いていけばハッピーアイルのトレイルヘッドに出るから」。我々もとうとう道を聞かれるほどになったというわけだ(笑)。
今回のルートは行きはクラークポイント経由のジョンミュアトレイルで、帰路は急坂だけどミストトレイルで、というルート選択。というか最近このパターンばかり。やはり上りは体力消耗の少ないルートで、ということになった。もちろんその分距離は長いんだけれど。
6時40分過ぎ、バーナル橋の脇のトイレに立ち寄る。さすがにここには荷物を置いてヒト休憩する人が多い。森の向こうに少ないながらも水が流れているバーナル滝がみえており、絶好の記念撮影ポイントでもあるからだ。大学生と思しきとても元気のいい男女の7,8人のグループが目立っていた。彼らとどっちが先に登頂できるかなぁ、なんてことをふと思ったけれど、トイレに立ち寄っている間に、とっとと先に行かれてしまったようである。
バーナル橋を過ぎて少し歩くとほどなくしてジョンミュアトレイルとの分岐がやってくる。まっすぐ進むとバーナル滝脇をぬけるミストトレイルだが、我々は右方面へと舵をきる。ここからクラークポイントまではなだらかだがしっかりと高度を稼ぐ九十九折のトレイルが続く。
今回のドームハイクでトライしてみることは、出来るだけ立ち止まった休憩時間を少なくしてみること。名づけて「ウサギよりカメ」作戦(笑)。足の長い外人ハイカーには太刀打ちできないので、ゆっくりでもいいから出来るだけ長い時間歩き続けるという歩き方がどこまで出来るか?というのを試してみたかった。案の定、周囲のハイカー達の歩幅は広い広い! 大股で歩く彼らに道を譲ること数回、でも焦るなかれ、まだ勝負は始まったばかりだからね。

何度目かの九十九折りを過ぎるとかなり陽も登ってきたようで、南西の岸壁に写る東面の岸壁の影が鮮やかに映し出されていた。なんとなく鳥が羽根を広げているようにも見えるこの影をみて「あっ、天狗岳だ!」と相方が声を出したりする。ウケ狙いでいったのかもしれないが、最初は何のコトが全くわからなかったワタクシでした(苦笑)。
クラークポイントを通過し、さらに大きな九十九折の道を進み、ネバダ滝を目指す。このあたりから徐々にではあるが「カメ作戦」が功を奏しているのを実感するようになる。意外に彼ら、ちょこちょこと立ち止まることが多いのだ。そんな彼らを尻目に、ゆっくりではあるが、ほとんど止まらずに歩を進めるわれら日本代表の2選手(笑)。時折振り返ると2,3ターン下の道を歩いている彼らが目に入るとちょっと嬉しくなってきたりする(単純・・・・)
クラークポイント付近からの眺め。おなじみの岩峰三兄弟(といってもそこいらじゅうにある"三兄弟”)の右から、リバティキャップ、グリズリーピーク、そしてハーフドーム。

ネバダ滝がほぼ同じ高さに見える所まで上がってくると、あとは崖沿いの道をまっすぐ歩くだけ。このあたり、脇の崖から水が染み出しているところがあるけれど、その周辺だけいろんな花が咲いていて、季節によってはハイカーの目を楽しませてくれる。時期的にはちょっと遅かったけれど、今年も白や黄色の小さな花がちょっとした潤いを与えてくれていた。名前がわからないのが残念。で、左下の白いヤツは勝手にヨセミテイチゲなどと名づけてみたりする(笑)。


ネバダ滝トップに到着したのは8時過ぎ。駐車場から二時間あまり、バーナル橋からは1時間20分ほどなので、まぁまぁのペースだ。太陽もだいぶ高い位置に昇ってきたが、ずっと日陰を歩いてきたせいか、ザックにつけていた温度計は6度をさしたままだ。ここで歩き始めてから初めてザックをおろしての中休止をとる。初めてドームに登ったときは、ここでコーヒーまで入れて随分長い休憩を取ったものだけれど、もう慣れてきたので、ここでは軽くエネルギー補給をして10分程度の休憩で出発だ。まだ全工程の半分も来ていないから(トレイルヘッドから2.8マイル)、まだまだ先は長いのだ。
ネバダ滝から少し歩くとミストトレイルとの合流点に差し掛かるが、ここに来たとたんいきなり人の数が増えてきた。まぁトレイルの本流ともいえるのである程度予想はしていたけれど。リバティキャップを横目に見ながら岩だらけのトレイルを上がっていくと道はやがてなだらかになってくる。このあたりからはドームの背面が見えるのだが、バレー側からみたその姿とはエライ違いで、まるで舞台裏を覗いているかのよう。このギャップは何べん見ても飽きがこない。

マーセド川沿いに続いているトレイルを直進すれば、リトルヨセミテバレー経由でドームへの道へ続いている。ガイドブックではこちらの道を勧めているのだが、もう一本、普通にまっすぐに歩いているとそれをショートカットするような形でトレイルが続いている。ショートカットといっても、さほど短いわけではないのだが、実はコチラの道はホーストレイル、つまり馬の通り道として整備されたようで、下が砂地で歩きにくいことこのうえない。でも、なんとなく勢いというか、方向的にはこの道のほうがドームに近いので、どうしてもいつも通ってしまう。
このホーストレイルと、先のリトルヨセミテバレーからのトレイルが合流すると、その先からは左にトレイルが方向転換して、いよいよ林の中の登りに突入する。ネバダ滝トップまでが第一関門とすると、この林の中のセクションは第二関門ともいうべき区間で、時折ドーム裏面が林の間から覗けることがあるくらいで、あとはひたすら視界の効かない中を登り続けないといけない所だ。唯一のたのしみといえば、脇に落ちている松ぼっくりを観察する位かも? シュガーパインも混じっているので、運が良ければドデカイ松ぼっくりに遭遇できるかもしれない。
林の中のセクションに入ってから、トレイル脇に腰をおろしているハイカーの姿が目立つようになってきた。さっき大股で追い抜いて行った野郎二人組もその中にいる。そんな彼らをカメのごとくゆっくりとした歩みで追い抜いていくと、ちょっとばかりまた元気が出て着るような錯覚に陥るのだ(笑)。数えてはいないけれど、感覚的には20人以上抜いたんじゃないかな、と思う。
とまぁ、気分的には上々だったけれども、ここまでずっと隠していたが(苦笑)相変わらず体が重い・・・・。
この重たい感覚はバーナル橋を越えたあたりからずっと続いていた。いつもならひと汗かくと、すうっと軽くなってくるんだけれど、それが今日は一向にやってこないのだ。そうこうしているうちに、久しぶりにあの感覚がふくらはぎにやってきた、そう、「攣る」ってヤツ。だましだまし歩いていたけれど、残りの距離と高度差を考えると、『あれ』を取り出す頃合いかもしれない・・・・。不本意だけれど致し方ない、ザックの脇からストックを取り出して両手にスタンバイ。まぁポパイのホウレンソウのようなものか・・・・。それにしても、ダブルストックの威力は絶大!!!(”!”マークみっつ分!)。軽く地面についているだけでも、足への負担がぐっと減ったようだ。悔しいかな相棒はノーストックで歩き続けているけどね。
40分ほど歩くと、ハーフドームトレイルとのジャンクションの道標が目に入ってきた。これを右方面に進むとクラウズレストに行ける。一方ドームは左方面、あと2マイルの表示が出ている。ここをもう少し過ぎればようやくドームの先端が拝める場所に出るのだと思うと、重たくなってきた足にもまた力が蘇ってくる感じだ(ストックつかっているけれど・・・)。
うっそうとした林から隙間が目立ってきて、トレイルが北方面へ伸びてくると、前方の視界がだんだんと広がってくる。そしてようやく長~い廻り道から解放されてドームの先端が見える位置にまで到達。ここでちょっとだけ小休止して、水筒への水補給を済ませる。


先の小休止した地点からは足元は花崗岩がむき出しになっているところが増えてくる。もう少し登ると、真横からカッコよくドームが見えるようになってくる。もうこのあたりまでくると、ドーム自体の厚みというか幅がかなり大きく見えるので、カメラを横に構えたままで撮るのがぴったりな位。このあたりからのドームの見え方も好きなポイントの一つ。
さて、いよいよサブドーム(ドームショルダー)の麓に到達。去年までなかったこんな標識がトレイルのそこかしこに建てられている。そう、Permitに関する注意を促す看板だ。でも、これを見たのはここが最後、ってことは、Permitがないとこれ以上は行っちゃいけないのかなぁ?と思ったけれど、多分NGなのはケーブルセクションから上の部分だけでしょう。週末はレンジャーが見張っているのかなぁ??

いよいよ第三の難関な、サブドームの始まり~。遠目で見ると「あんなとこ、どうやって登るの?」と疑問だらけの急斜面の岩で、むき出しの花崗岩に木がわずかに生えている。標高差にしたら200m弱だろうか? トレイル自体は階段が切ってあったりしてさほど困難はないのだけれど、とにかく急。7マイル以上歩いてきた身には結構応えるセクションなのだ。
この写真は、ごく普通に上にカメラを構えて撮っただけ。これだけの急斜面デス。

それでもここの眺めそのものは大好きな所のひとつなんですよね。
碧い空に灰色の花崗岩と木の幹の茶色と葉のみどりが、あんでこうもバランスいいの?という位、不思議な割合で調和が取れているんですよね。ずっと見ていても飽きない景色の一つです。あ、でも油断すると下に落っこちちゃうから長居は危険。

ヒーヒーいいがらようやくサブドームを登り終えてショルダー頂上へ。いよいよ残すは最後の難関ケーブルセクションのみ。去年はここで雨に降られて撤退したけれど、今日はそんな心配は全くないほどのお天気。やはりこの最後の難関を通過するにはエネルギーが必要でしょ、ってことで、炭水化物の補給タイム。別に登るのにそんなに覚悟はいらないんだけれど、気が付いたら20分以上も休んでましたく
持参した皮手袋を装着して、いざケーブルに取り付いて登頂開始!
この時刻、まだ渋滞はたいしたことないのでほっと一安心。ではレッツゴー!

まだまだ余裕。次の渡し板までは一気に登らないと腕が持たないので、すれ違う時はどちらかが待機です。

中腹のもっとも斜度がキツいあたり。ケーブルの高さがやや高い位置にあるので、小柄な日本人女性にはつらいところです・・・。

どうにか最高斜度の難所も越えてあとわずか。

11時27分、三年ぶりのドームてっぺんに到着です。
やはりここは「来たなぁ!!」と思いっきり声を上げてみたくなる、そんな達成感のある場所ですね。
天気にも恵まれて、どこみても素晴らしい景色ばっかり、です(人もけっこう多いですけど)
それではドーム頂上からの眺めをお楽しみあれ~(クリックすると拡大します)

東南方面です。

北東方面、バレーの奥が見えます。右に見えるピークが明後日行く予定のクラウズレスト。

昨日行ったノーズドーム(左側)とバスケットドーム。こうやって上から見ると、ノースドームはちっともドームに見えない。

西側、右にエルキャピタン、その向かい側に貸せどらるスピアーズ、で、左上にはたんこぶのように見えるセンチネルドーム。真ん中に写っているのがドームの先端のくちばし部分。近くで見るt、板状の岩が折り重なって出来ているんですね。

そのくちばしの先端から撮った一枚。崖のヘリに腰掛けて足をぶらぶらさせると何とも気持ちのよい・・・・・(ほんとかよ!)

くちばし先端からもう一度バレー西方面を。やはり高いところからだとグレーシャーポイントも良く見えますね(左側、センチネルドームの下方向)

くちばし先端にて「アーチ!」。もっと腰を前に突き出さなきゃ・・・(苦笑)。
ちなみに、ここからパラシュートしょって飛び降りたら、ホント帰路は楽でしょうけど・・。でも良い子は絶対にしちゃダメです。

ドーム頂上の南側、ご覧の通りかなり広い頂上です。
ドーム頂上はこれで三回目だけれど、なぜか行ったことがなかった南側。そちらへ歩いて行くとケルン積み遊びとでもいうのか、岩場での定番のあそびの痕跡があっちこっちにありました。


で、我々も一つ、日の丸と今年の2010という数字を並べてみたり。
名残惜しいけれど、いつかは降りなきゃならない頂上。たっぷりと一時間半ほど楽しんだ後、再びケーブルを伝っており始める。時刻は午後一時前。で、この時間でもまだかなりの人が登ってくるので、下りははい、ケーブル渋滞に巻き込まれました。人がいなけりゃ10分もかからずに降りられるであろう処を、たっぷりと30分ほどかかってしまいました。
林の中のトレイルでは、割と大きめの松ぼっくりを発見して、今日初めての撮影。やはり昨年はあたり年だったのか、今年は下に転がっている松ぼっくりも少なかったなぁ。

ネバダ滝上からは、今度は急坂のミストトレイルを選択。この時期にしては割と水は多い方かな。

バーナル滝上まで降りてくると、格段に人が増えてきますね。まだおにぎりも余っていたのでちょいと中休止。
滝の脇を通る非常に高低差のある石段を通過し、滝が視界に入ってくると虹が写っていました。午後にならないと太陽が差し込まないので、この時間だとたいてい虹を見ることが出来るんですね。

トレイルヘッドにたどり着いたのは17:50分頃、駐車場には18時ちょうど、ほぼ12時間のロングハイクも無事終えることが出来ました。
帰路はネバダ滝を過ぎてからは結構いろんなところで足を止めて写真撮影したり、流れる水に足をつけたりして遊んだ時間も多かったけれど、往路5時間20分、復路5時間10分、とまぁまぁの所要時間だったかな、と。
箱根駅伝のタイムと近いっていうのは、全くの偶然ですけどね。
やっぱり頂上まで行くと満足感の大きいハーフドーム。唯一の欠点はドーム自身が見えない所、なんて言うけれど、やっぱり最後のケーブルせくしょんという難所を越えて到達したサミットは、他では得られない満足感がありますね。今まで、二年おきにドームハイクをしていたけれど、毎年行くのもいいかな、と思い始めた。いや、長期滞在するなら、二回行くのもいいかな(笑)。さすがに一日2登は不可能だけどね。
日本だと毎日のように富士山の登っている人がいるけれど、ドームにも毎日のように登っている人っていないのかな? いやぁ、きっといる気がするんだけど。
本日の夕食は、カレーライスとサラダ。
せっかくなので、ご飯をハーフドームのように盛りつけて、名付けて「HalfDomeカレー」。
日本だったら絶対メニューに登場しているだろうなぁ。
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- 2010/09/23(木) 17:11:55|
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