ようやくもぎ取った夏休み(苦笑)。
「いい加減、申請した日にちで取得してくれませんか」と散々人事からイヤミを言われつつも、出張先の都合もあったりで、延期に次ぐ延期を重ねること何回だろ? 1月中旬にこの時期に取ることを最終宣言したものの、本音では「天気予報見てから決めてもいいっすか?」といいたかったのだけれどね。
一人旅ならばいざ知らず、相棒の都合もあることで、なかなか天気予報と相談して柔軟に、というわけにもいかない。あまりめぐり合わせのよろしくない予報にヤキモキしつつも、西穂山荘泊~下山後の中尾温泉、の二泊三日の夏休み。結果的には、「そのまま北横岳にハシゴすれば良かったね」(爆)。
独標から見たPP,西穂・奥穂方面
自宅発5:00 - 7:00諏訪湖SA7:15 - 7:45松本IC - 9:55新穂高ロープウェイP - 11:00ロープウェイ - 新穂高口11:35-13:14西穂山荘14:28-14:45丸山14:49-15:56独標16:06-16:49西穂山荘
珍しく装備一式なんぞを載せてみた。
雪山行くだけで、かなりの装備が増えるのは致し方ないことだけれど、毎回「未使用」のまま片付けられるモノが数点。さて今回の山行きは如何に!?
これに三脚、水1.5リットルとポット、カメラが加わって、ザック込みで15.8kg。山小屋一泊のはずなんだけどなぁ・・・。
圏央道の神奈川区間が開通したおかげで、東富士有料道路~御坂経由よりも30分ほど短縮することができたのは嬉しい。諏訪湖SAまで二時間、松本ICを出るまでは順調そのものだったけれど、ICを降りて一般道を走っていると、道が一車線になる手前から、なんと路面が完全凍結状態! 恐る恐る近場のコンビニに乗り入れてチェーン装着の憂き目に。そこからはガタガタいわせながらの時速40kmほどののんびりドライブ。安房峠トンネルを過ぎて平湯にはいると、そこは周囲も路面も完全な雪国となっていた。せっかくチェーンをつけたのだから、そうこなくっちゃね。
曇り予報だったこの日の天気、幸いにも晴れ間が覗いてきて、ロープウェイの山頂駅を降り立つ頃には快晴といってもいい空模様に恵まれた。とはいえ、稜線の風は強そうで、西穂に至るあたりもごらんの有様。やっぱり今日は山荘までののんびり雪上ハイクで終わりかな、との予感。時間的にも丸山あたりまでの散歩でおしまいだろうと、この時は確信していたのだけれど。
登山道はほどよい圧雪路で、踏みしめるゆきの音が心地よく響いてくる。あの独特なキュッキュッとした音は、関東のべったりと湿った雪ではなかなか味わえない。前日に降ったであろう新雪が表面に積もってはいるが、歩行に支障が出るほどでもない。今日も元気にツボ足でGo!^^
鞍部へ下る直前からは、西穂山荘もくっきりと見える。そろそろ山荘直下の上りが始まる。
「ツボ足でGo!」なんて余裕こいてたのはついさっきまで。冬道独特の直登路が始まると、踏み込んだ足に体重をかけるとズルっと来ることが多くなってきた。こうなるとキックステップ全開である。幸いにも斜面はまだ固くはなっていないので、面白いようにキックが決まるのだが、多分やりすぎたせいだろう、夜に腿が攣って目が覚めること数回。いやはや・・・・・。
天気の良さもあって途中写真撮影で立ち止まることも多かったけど、最後の斜面で手こずったせいもあって随分時間がかかってしまった。ここを過ぎれば間もなく山荘(のはず)。
そんなこんなでロープウェイ口から1時間40分弱もかかってしまって、ようやく山荘に到着。
山荘到着直前に、稜線から降りてきたであろう二人組とすれ違った。フードを目深にかぶってゴーグルも着用し、完全防備の態勢だ。軽く挨拶を交わすと、「いやぁ、上の方は風が凄いよ」との一言。そりゃ途中でみた雪煙の様子からしたら、とても歩ける状態じゃないよな、と思っていた。時刻は1時過ぎ。せいぜい、その強風を体験しに稜線へ出てみるくらいかな、としかこの時は考えていなかった。
とりあえず山荘にチェックイン、少し小腹を満たして、さて、散歩にでも出るか、ということになった。散歩程度なので手にしているのはカメラとピッケルのみ。水ももたず、ポケットには飴玉が2個ほど入っているだけ、という状態。もちろんアイゼンは装着。さすがにこの先ツボ足ってのは自殺行為に等しい。
目の前の小山を超えて稜線に出ると、思ったほどの風ではなかった。それなりに強い風は吹いているものの、せいぜい20ノット程度かな、と。幸いにも左後方から吹き上げてくる風だったので、上りの時には体を押し上げてくれるような向きだったのも幸いした。ただ、時折巻風がきて顔に当たるとまぁ冷たいのなんの! それでも丸山まではサクっと到着して、しばしそこで撮影に興じる。
さて、このあと。相棒はさくさくと前を向いて歩いていく。前というのは、言わずと知れた上の方。ま、視界もいいし、笠ヶ岳にかかっていた雲も取れているし、もう少し行ってみるか、と、この時はまだその程度にしか思っていなかった。条件が良く、目の前にこんな景色が展開されていたら、もう少し行ってみよう、と思うのも無理はない。
振り返ると、丸山~山荘に至る稜線もなんだか格好よく見える。焼岳とその向こうの乗鞍も山肌までくっきりと見える。そして、少し右に目を転じると、地平線のあたりに白山がはっきりと見える。金沢には今年に入って4回出張でいったけれど、白山を見るのは今年初めてかも。
エビのしっぽもカッチカチに凍ってます。
雪の斜面も適度に固くしまっていて、アイゼンの食い付き具合も申し分ない。押し上げるような風にも助けられて、ゆっくりペースではあるけれど、順調に斜面を登っていく。独標手前から始まる岩峰群の最初のピークももうすぐそこに迫っていた。
と言っているあいだに、あっという間に独標直下。下の写真、拡大してみると、二人ほどが中間の岩場にへばりついているのが見える。ずっと先行していた二人組だけれど、どうやら独標頂上行きはあきらめて降りたようだった。
時刻が気になるところだったが、このコンディションなら下山には50分もかからないだろうし、16時に下山開始できれば十分だな、との判断で、このままGo! とはいえ、直下の状況がどんな様子なのか気になるところ。鎖のある岩を巻いて直下の斜面に出ると、しっかりと雪がついていて、しかも、かなりのステップが切られていた。これまで登った人達が残してくれたものである。ひと雪来ていたらこのステップも埋まってしまっていただろう。幸運に感謝して登り始める。
相当な急斜面のため、相棒が完全に登りきるのを待ってから自分は登り始めた。この感じだと、人が多いと順番待ちでかなり時間を取られただろうと思う。上りも下りも定員一名様、といった感じだ。
この上りで、初めてピッケルを有効活用した気がする。柄の部分を握って、上方の適当な所に振り下ろすと、それはがっしりと雪面に食い込んで、強力な支えとなってくれた。
はい、独標頂上到着。
この独標頂上が一番風が穏やかだったような気がする。たまたま風が弱まった時だったのかもしれないが、時間があればコーヒーでも沸かしてのんびりと景色を楽しんでいたいと思うほどの、穏やかな頂上だった。
相棒のカメラで雪面直置きでの記念撮影^^
稜線からの眺めに比べて、ひときわ高いところからのそれは迫力が違う。
西穂高岳方面。
奥穂・吊尾根・前穂高方面。
上高地と霞沢岳。
太陽がこんな位置にあるというのに、独標頂上なんかにいちゃダメですって^^;
さて、あまりのんびりとしているわけにもいかないし、慎重にも慎重を期して下山開始。やはり直下の下りは相棒にとってもかなり緊張を強いられたようだった。登りと同じ姿勢で下っていくわけだが、下ろすべき足の位置がなかなか決まらずにちょっと苦労した様子。自分はそこまでの姿勢はとらず、下向き・トラバース姿勢のまま降りていった。ここでもピッケルが大活躍したことは言うまでもない。
直下の岩場を過ぎて緩斜面に出るとようやく一息ついたが、今度は猛烈な風が前方右から吹き付けてくる。そりゃ上りの時に左後方から吹いていたんだから当たり前。時折、重力で下に向かおうとする体を支えてくれる(?)ほどの風が吹き付けることもあったが、それでも30ノットまでは吹いていないだろう、という程度。耐風姿勢を取るほどのものではなかった。
緊張を強いる箇所を通過したあとは、相棒も足取りが軽やかだ。冬の独標行きを達した満足感もあったのだろう、足取りも軽快そのものに見えた。冬の西穂は二回目。前回は雪付きが悪く、独標直下で引き返していたのだ。
無事山荘に到着~。
なんとなくうる覚えだったが、「笠ヶ岳にかかっていた雲が取れたら、天気が崩れる心配はしばらくない」とか、「白山が見えているうちは大丈夫」とか、こういったのは、いわゆる飛騨側からの風が強い時は崩れる兆候ではない、ということだったらしい。
時間的なこと、装備的なことを言えば反省すべき点多し、なのだが、こういうチャンスをモノにした、という点では、ちょっとだけ誉めてもいいのかな、と。
おまけ。
こんな格好で登ってました。
上は、速乾性のTシャツ、アンダーアーマー、厚手の登山用ポロシャツ、ダウンジャケット(ユニクロ製ね)、ノースのマウンテンジャケット。下は、綿のアンダータイツ、冬用パンツ(裏地のあるタイプ)に、風よけを兼ねたレインジャケット。
気温は山荘付近でマイナス7℃。風の強さからすると体感的にはマイナス15℃以下だったかもしれないが、寒さを感じることはなかった。で、最も大事なポイントは手袋かも。
今回試してみたのが、中がフリース生地のものに、オーバグローブとして使ったみたのが、セムスのゴム手袋。中綿付きのものも手に入れていたのだけれど、片方なくしてしまったようで、今回使ったのは、ほんとにただのゴム手袋。なぜコイツを選んだかというと、まず防水性。油仕事にも耐えるわけだから、その点ではお墨付き。この組合わせ、自分にはぴたりとはまってくれたようだった。
アイゼンはBlackDiamond製の10本爪タイプ。12本爪じゃないの?と言われそうだけれど、なんとなく10本でも十分かな、というのと、12本爪との大きな差が感じられなかったから。もっとも違いがわかるほどの場所に行っちゃいない、ってのが本当のところかも。ちなみに、ストックとピッケルもBlackDiaond製だけれど、これは単なる偶然。
最後に、なんともちぐはぐなカラーコーディネートだけれど(^^;)、一番最近購入したのが赤のレインジャケット。これは以前使っていたレインジャケット(黒+青)がボロボロになってしまったため、急遽やむを得ず購入したものだから。サイズでちょうどいいのが赤しかなかった、というのがその理由。この赤のレインジャケット(下)が黒だと、結構見栄えのするカラーリングになるんだけどね(笑)。
「その2」に続く。
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- 2017/02/22(水) 17:39:50|
- 山
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